【ゲーム紹介】Replica

あいさつ

こんにちは、アイ・スーです。今回は『Replica』を紹介します。

概要

『Replica』は、携帯電話を題材にしたインタラクティブ小説形式のゲームで、社会問題や監視社会の恐怖をテーマにしています。本作は韓国のインディーゲーム開発者Somi氏が手がけ、2016年7月11日にリリースされました。対応プラットフォームはPC(Windows、macOS)で、Steamを通じて購入可能です。

ゲームの舞台は、国家による監視体制が極限まで強化されたディストピア社会。主人公は政府により不当に拘束され、解放の条件として他人の携帯電話を調査するよう強要されます。プレイヤーは携帯電話内のメッセージや写真、アプリなどを操作しながら、国家に有益とされる情報を見つけることが求められます。

このゲームの特徴は、その緊張感あふれるストーリー展開と、多層的な物語の構造にあります。全12種類のマルチエンディングが用意されており、プレイヤーの選択が物語の行方を大きく左右します。

操作性

操作は非常にシンプルで、キーボードとマウスで直感的に進められます。たとえば、メッセージアプリを開く、写真を閲覧する、パスワードを入力してロックを解除するといった動作がメインです。特定の情報を見つけるために携帯電話内を探索することがこのゲームの一番のポイントです。

ゲーム内では、時折プレイヤーに選択を迫る場面があります。これらの選択が物語の展開やエンディングに影響を及ぼすため、注意深く行動する必要があります。電話に出る・出ない、誰にかけるなどでエンディングが変化したりします。

基本的にはマウスだけで携帯電話内での操作全般が行えます。たとえば、アプリを起動するには左クリックでアイコンを選択します。メッセージを確認する際や、写真を閲覧する場合には、クリックや画面のスクロール動作が求められます。一部キーボードで入力が必要なものもありますが基本はマウス操作になっており、実際のスマホをいじるような感覚を楽しませつつ、プレイヤーの没入感をさらに高めています。

特徴

『Replica』の特徴は、そのシンプルなデザインと緊張感を伴うゲーム性にあります。このゲームでは、プレイヤーが他人の携帯電話を操作し、プライバシーや情報を探るというコンセプトが中心に据えられています。この設定は、現代社会における監視や個人情報の扱いについて考えさせる仕掛けとなっており、物語全体を通じて強く感じられます。

また、携帯電話内に散らばるメッセージや写真、アプリのログなどは、非常に現実的に作り込まれており、プレイヤーが手がかりを探しながら情報を整理していく過程がゲームの中心となっています。この調査過程は、単なる謎解きではなく、物語の展開や結末にも大きく影響を与える重要な要素となっています。

グラフィックは非常にミニマルで、ドット絵を基調としたデザインが採用されています。このスタイルは視覚的にシンプルでありながら、ゲーム内の冷たい雰囲気を巧みに演出しています。画面上のすべてがスマートフォンのUIを模しているため、プレイヤーはまるで本物の携帯電話を操作しているかのような感覚を味わうことができます。これにより、特別な技術や複雑な操作を要求されることなく、自然とゲームに没入できるようになっています。

音楽は控えめながらも効果的で、プレイ中の不安感や緊張感を煽るような構成になっています。BGMはあえて派手さを抑え、不穏な空気感を保ち続けることで、物語の緊迫した雰囲気を引き立てています。効果音も同様に、スマートフォンの操作感をリアルに再現しつつ、ゲーム全体の臨場感を高める役割を果たしています。

プレイヤーは他人の個人情報を操作しながらも、物語に対する選択が問われます。ゲームの進行中にどの情報をどう扱うかが、ストーリーの方向性を決定づけるため、シンプルな操作の中にも深い戦略性があります。

主人公について

『Replica』の主人公は、ある日突然、政府の命令で監視下に置かれ、他人のスマートフォンを調査する役目を担うことになります。主人公は携帯電話の持ち主(友人)が反政府活動をしている可能性があるとして、その情報を探し出すよう指示されます。しかし、プライバシーを侵害する行為に対して彼は罪悪感を抱きつつも、命令に従わざるを得ません。

彼の周囲に登場するキャラクターたちは、携帯電話の中に記録されたメッセージやデータを通じて浮かび上がり、物語を進める中で主人公と深く関わることになります。これらのキャラクターとの関係性が、ゲームの中での選択に影響を与え、物語の展開を左右する重要な要素となっています。

主人公は、他人のプライバシーを覗き見ることで、個々の登場人物の人生や秘密を知り、しばしばその決断が彼の道徳観や倫理観に対する試練となります。その中でプレイヤーは主人公の行動に対して選択を下し、その結果が物語にどのように影響するのかを体験します。

プレイ感想

『Replica』をプレイしてすごいと感じたのは、日常では絶対に体験できない「他人のスマートフォンを覗き見る」という背徳的な体験を、ゲームとして忠実に再現している点です。プレイヤーはテロの容疑者のスマートフォンを操作し、国家安保部の指示を受けながら証拠を探し出すという形で物語が進みますが、例えば「家族の名前を調べろ」といった具体的なミッションが課され、その指示に基づいてスマートフォン内の写真やメッセージ、電話帳などを調査していきます。メッセージの流れや写真の詳細から情報を調べていくのはなかなか面白かったですし、現実のスマホの機能が忠実に再現されており、思わず感心しました。

ゲームの基本操作は非常に直感的で、指紋マークのポインタを使って気になる箇所をクリックするだけ。現実のスマートフォンを扱うのと同じ感覚で操作できるため、特別なスキルを必要とせず、すぐにゲームの世界観に没入できます。それぐらいスマホの再現性が高いです。(アプリのIDとパスワードがあったりするところとかは特にリアルさ感じました。)

さらに、アプリの挙動やスマートフォンに残された私生活の情報が非常にリアルに表現されているため、「他人のスマホを調べている」という雰囲気が見事に作り上げられています。この点が、ゲーム全体に特有の緊張感をもたらしており、覗き見る行為そのものがプレイヤーに強い感情的な反応を引き起こします。日常ではまず経験できない状況を、ゲームならではの形で味わえるのが『Replica』の大きな魅力です。また、このゲームの定価は安価で日本語にも対応している点も嬉しいポイントです。

一方で、エンディングですがノーヒントで全エンディングを見つけ出すのははっきり言って難しいと思います。私自身もいくつかのエンディングは攻略法を参考にさせていただきました。1つのエンディングに到達するまでの時間は比較的短めですが、隠し要素をすべて自力で探索しようとすると、かなりの根気が必要になります。いろいろ試して、ぜひノーヒントでの全エンディング回収に挑戦してみてほしいです。(難しい時は『Replica 攻略』と調べれば、それぞれのエンディングの手順が分かると思います)

総じて、『Replica』は短時間で没入感のある体験を提供してくれる作品で、簡単な操作性と深みのある内容が見事に融合しています。他人のスマホを覗くという設定が、社会問題や倫理観について考えさせられるきっかけにもなる点で非常に印象的でした。

終わりに

『Replica』は、その独特なテーマとシンプルな操作性で、短いながらも濃密なゲーム体験を提供してくれる作品です。他人のスマートフォンを覗くという背徳的な行為を通じて、監視社会や個人情報の扱いについて考えさせられる内容は、ただのゲームにとどまらず、強いメッセージ性を持っています。また、日本語対応や直感的な操作感のおかげで、誰でも気軽にプレイできるのも魅力のひとつです。

手軽に遊べる反面、エンディングをすべて回収するためにはやり込みが必要で、シンプルな中にも奥深さが感じられます。特に、謎解きや探索が好きな方にはおすすめしたい一作です。『Replica』は短時間でプレイできるゲームを探している方や、社会問題をテーマにした作品に興味がある方にぴったりのタイトルだと思います。ぜひプレイしてみてください。

それでは、また次の記事で…

引用

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レプリカは携帯電話とソーシャルメディアを題材にしたインタラクティブ小説ゲームです。他人の携帯電話の中にある私生活を覗きみる変態行為が、アナタをこの国最高の愛国者にしてくれるはずです。

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