あいさつ
こんにちは、アイ・スーです。今回は少し前に紹介したクトゥルフ神話を基にしたTRPG風のホラーダイスロールアドベンチャーゲームの続編『Cthulhu Mythos ADV 呪禍に沈む島』を紹介します。
Cthulhu Mythos ADV 呪禍に沈む島 概要

『Cthulhu Mythos ADV 呪禍に沈む島』は、2024年6月28日にGotcha Gotcha Gamesからリリースされたクトゥルフ神話をベースにしたTRPG風のゲームです。対応プラットフォームはSteam、iOS、DLsiteで、価格は税込2,000円となっています。本作はプレイヤーの選択とダイスロールによって物語が分岐します。舞台は瀬戸内海の阿菩島(あぶしま)で、八十八ヶ所巡礼を逆順に行うと空海が現れ願いを叶えるという都市伝説が語られています。主人公は友人と共に島を訪れますが、何者かに呪いをかけられ命の危機に晒されます。クトゥルフ神話の世界観とTRPGの要素を融合させた本作は、ホラーとアドベンチャーの魅力を存分に味わえる作品となっています。
詳細
本作は、クトゥルフ神話を基にしたTRPG風のホラーダイスロールアドベンチャーゲームです。瀬戸内海の孤島を舞台に、プレイヤーは呪いを解くための探索を進めます。ゲームはマップ上のスポットを選択して進行し、移動や行動によって「満腹度」が減少します。満腹度が低下すると、呪いの発作が起こったり、ダイスロールの成功率が下がるなど、プレイヤーにとって不利な状況が発生します。
ゲーム開始時に提示される質問に答えることで、主人公の能力値が自動的に決定されます。この能力値は、物語中の重要な場面で行われるダイスロールの成功率に直接影響を与え、プレイヤーの選択と運が物語の展開を左右します。
ストーリーは一本道ではなく、選択や行動の成否によって分岐が発生します。特にプレイを通じて変化していく主人公の正気の度合いや、登場人物との絆によって、後半のストーリーやエンディングが大きく分岐していきます。

キャラクターデザインはTAKOLEGS氏が担当し、メインキャラクターにはプロの声優陣によるボイスが追加されています。これにより、キャラクターの魅力が一層引き立ち、物語への没入感が高まります。
グラフィックは幻想的でありながらも不気味さを感じさせ、音楽は緊張感を高める演出が施されています。これらの要素が組み合わさり、プレイヤーは自らの選択と運命に翻弄されながら、緊張感あふれる探索を体験することができます。
操作
『Cthulhu Mythos ADV 呪禍に沈む島』の操作性は、テーブルトークRPG(TRPG)を彷彿とさせる独自のシステムが特徴です。基本操作はマウスのクリックのみで提示される質問に答えることで物語や能力が決定されます。
探索はマップ上のスポットを選択する形式で進行し、こちらもマウスのクリックで選択します。選択した場所によってストーリーが変化したり、得られる情報が変わるのでいろんな場所に行ってみましょう。
プレイ感想
良かった点
本作でまず印象的だったのは、前作と比較して大幅にボリュームが増えた点です。物語の長さや選択肢の幅が豊富になっており、プレイ時間の密度が一段と高まっています。前作から登場していたキャラクターがそのまま続投しているため、彼らの背景や関係性がさらに深堀りされ、特に前作プレイヤーであればより楽しむことができるはずです。

ストーリーの流れは穏やかな日常から始まり、徐々に不穏さが忍び寄ってくる構成でADVパートが強化されたことで文章量や演出が充実し、物語への没入感が非常に高まりました。エンディングは複数用意されており、選択や好感度によって分岐する仕組みがしっかりと活きており、やり込みの価値も十分に感じられます。
主人公の立ち絵を自分で用意すれば見た目を変更でき、自キャラでのロールプレイも可能な点は、TRPGファンにとって大きな魅力でした。TRPG風のダイスロール演出も臨場感があり、ストーリーと相まって手に汗握る展開を生み出していました。
気になった点
一方で、いくつか気になる点も見られました。特定キャラの好感度を上げる条件が明確でなく、選択肢の効果が分かりにくい場面がありました。そのため狙ったエンディングにたどり着くには試行錯誤が必要です。
TRPGを意識した演出であるダイスロールには、期待されたクリティカルやファンブルのような印象的な展開がなく、TRPG経験者としては少し物足りなさを感じました。さらに、前作に比べて周回プレイの難易度が上がっており、エンディング回収にはそれなりの労力と根気が求められます。加えて、ダイス演出のアニメーションがスキップできず、テンポがやや悪くなる点も気になりました。このテンポの遅れが長時間プレイでは少し負担になります。
総評

総合的に見ると本作は、前作ファンにとっても新規プレイヤーにとっても楽しめる作品だと感じました。オートセーブ機能の導入によってバッドエンド後のやり直しもスムーズになっており、ストレスを感じずにプレイできます。キャラクターの掘り下げや物語の深さ、そしてTRPG風の演出といった魅力が詰め込まれていて、多少の不便さがあっても一気に遊びたくなる完成度の高いADVでした。前作を遊んでいれば確実に楽しめる内容ですし、物語重視のゲームが好きな人にも強くおすすめできます。
おわりに
本作は前作の魅力をさらに洗練させた、完成度の高いゲームでした。ストーリーのボリュームはもちろん、キャラクターの関係性やTRPG的な演出も丁寧に作り込まれており、面白い一作だと思います。ADVゲームとしての重厚さと、ロールプレイの自由度を両立している点も印象的で、物語に深く入り込む没入感は非常に強く感じられました。やや攻略に工夫が必要だったり、テンポの面で気になる部分もあるものの、それ以上に熱中できる仕掛けと展開の数々が魅力です。
前作を遊んでいる人は間違いなく楽しめますし、ホラーやTRPGに興味がある人、重厚なストーリーのノベルゲームが好きな人にもおすすめできる内容です。自分のキャラでロールプレイしたい人にとっても自由度の高さは大きな魅力になるはずです。じっくり腰を据えて遊びたい方にぜひ手に取ってほしい一作でした。
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